中期事業計画の評価公表

第3次中期事業計画(平成24年度~平成26年度)の評価 [平成27年8月4日公表]

中期事業計画の評価

北海道信用保証協会は、公的な「保証機関」として、中小企業の資金調達の円滑化を図り、中小企業の健全な育成と地域経済の発展に貢献して参りました。

平成24年度から平成26年度までの3ヵ年間の中期事業計画に対する実施評価は以下のとおりです。

なお、実施評価にあたりましては、中小企業診断士 森永文彦様、公認会計士 籏本道男様、弁護士 伊藤隆道様により構成される「外部評価委員会」の意見を踏まえ、作成いたしましたので、ここに公表します。

1.地域の動向及び信用保証協会の実績

  • (1)地域経済および中小企業の動向
    • 未曾有の被害をもたらした平成22年度末の東日本大震災発生以降、復興需要や政策効果を背景とした円高是正、株価上昇が進み、平成24年度の日本経済は、景気回復に向けた動きがみられ、平成25年度から平成26年度にかけては、緩やかな回復を続けてきています。
      北海道経済においては、公共工事の増加や好調な観光が牽引する形で緩やかに回復してきてはいるものの、原材料・資材価格の高騰、エネルギー価格の上昇、消費税率引上げといったリスク要因が顕在化するなど、経営環境の先行きに対する不透明感は拭えず、道内中小企業を取り巻く環境は依然として楽観視できない状況にあります。
  • (2)中小企業向け融資および保証の動向
    • 平成24年度から平成26年度にかけての道内中小企業向け融資は、若干の浮き沈みはあるものの、ほぼ横這いにて推移しており、総じて落ち着きを見せています。
      保証動向については、平成24年に金融支援と経営支援の一体的取組を実現するために創設された経営力強化保証などの政策保証を積極的に取り組んできたものの、政府指定業種の減少からセーフティネット保証の取扱が大幅に減少したことや、借入マインドが慎重であったことなどから、減少基調をたどりました。
      一方、代位弁済は平成21年12月に施行された金融円滑化法により返済緩和の弾力的な対応を行ってきたことから減少し、同法が終了した平成25年3月以降も引き続きその姿勢は変わらず、結果として3年連続で代位弁済は減少しました。
      しかしながら、依然として返済緩和に伴う条件変更や延滞調整を要する先の水準が高いため、今後代位弁済に至るケースの増加が懸念されます。
  • (3)北海道内中小企業の資金繰り状況
    • 中小企業の資金繰り状況は総じて落ち着いた状況が続きました。運転資金については、平成24年度から3年連続して前年割れとなりましたが、設備資金は緩やかに景気が回復する中において需要が喚起され3年度連続して前年増加となりました。
  • (4)北海道内中小企業の設備投資動向
    • 中小企業の設備投資動向は、リーマンショックや東日本大震災の影響による厳しい経済環境から低調に推移していたが、平成24年には大幅に増加、翌年度は前年比減少となるも平成26年度では、景気の緩やかな回復と相俟って前年比で増加し、持ち直しの動きも見られました。
  • (5)北海道内の雇用情勢
    • 道内の雇用情勢は、平成24年度から平成26年度にかけて有効求人倍率は年々上昇しており、これは、全国の推移と同様の傾向にあります。福祉・介護施設等の新設、建設・運送関連需要の増加、外国人観光客の増大などにより、幅広い業種で人手不足が続いていることが要因と考えられ、着実に改善の動きが見られました。

2.中期業務運営方針についての評価

  • (1)政策保証の推進
    • 東日本大震災により被害を受けた中小企業者に対しては、被害状況に応じて災害関係保証、東日本大震災復興緊急保証による支援を適切かつ迅速に行い、平成24年度の直接被害に対応する災害関係保証は、2件45百万円、直接・間接被害に対応する東日本大震災復興緊急保証は、20件7億27百万円となりました。平成25年度、平成26年度は道内において間接被害が多かったため、取扱実績はありませんでした。
      セーフティネット保証については、厳しい経済状況および金融環境等の変化により、経営の安定に支障が生じている中小企業者への事業資金の円滑化を図るため積極的に取り組んでいますが、平成25年度以降指定業種の大幅な減少もあり取扱実績は平成24年度4,480件757億円、平成25年度2,224件406億円、平成26年度824件160億円となりました。
      借換保証については、保証付借入金の債務を集約することにより、月々の返済額を軽減し、資金繰りの円滑化を図るため中小企業者のニーズを的確にとらえ、積極的かつ弾力的に取り組み、平成24年度9,904件1,298億円、平成25年度7,900件1,119億円、平成26年度7,130件995億円の取扱実績となりました。
      流動資産担保融資保証については、中小企業者の資金調達の円滑化・多様化を図るため、金融機関との意見交換会、勉強会等で制度の利用促進を行った結果、平成24年度123件43億円、平成25年度102件40億円、平成26年度100件43億円と、各年度ともに全国でも上位の取扱実績となりました。
      小口零細企業保証については、責任共有制度の導入による小規模企業者への影響を緩和し、安定的な資金調達の維持を図るため積極的に取り組み、平成24年度4,939件174億円、平成25年度4,895件182億円、平成26年度4,766件178億円の取扱実績となりました。
      創業関連保証・創業等関連保証については、新たに事業を開始する場合、もしくは事業開始後間もない場合等において、事業の実施に必要な資金の円滑化を図るため積極的に取り組み、平成24年度728件32億円、平成25年度746件32億円、平成26年度874件37億円の取扱実績となりました。また、その他に地方公共団体の保証制度についても推進に努めました。
      平成24年10月には経営力強化保証が創設され、金融機関および認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定ならびに計画の実行および進捗の報告を行う中小企業者に対して、平成24年度から平成26年度までの3年間で588件98億円と、全国でも上位の取扱実績となりました。
  • (2)利便性の向上
    • CRD、審査支援システムの活用により審査の簡素化・効率化・迅速化に努め、中小企業者へのサービス向上を図りました。
      金融機関とは、意見交換を含め情報の共有を積極的に推進するとともに、事前相談・照会に対しては迅速な対応に努めました。
      また、北海道の制度融資および特別推せん保証、特定社債保証等について、基準料率から10%~20%の保証料率の割引措置を講じ、中小企業者の負担軽減を図りました。
      経営金融相談窓口、夜間経営相談窓口および専用ダイヤルによる経営支援の充実を図りました。
  • (3)関係機関との連携強化
    • 北海道・市町村とは協議会の実施、意見交換会等への出席により円滑な連携がなされ、商工会議所・商工会・中小企業団体等とは保証業務に関する説明会を積極的に行い、中小企業者のニーズ把握に努めました。
      また、反社会勢力に対しては、信用保証協会間の情報共有システムの活用や警察署との連携を図ることで排除してきました。
  • (4)経営支援・再生支援体制の充実、強化
    • 経営支援・創業支援・再生支援の取り組みのため、本店の専門部署に中小企業診断士を配置するとともに、平成24年度の6名体制から平成25年度7名、平成26年度8名(うち中小企業診断士5名)に増員し、体制の基盤強化を図りました。
      また、経営金融相談窓口、夜間経営相談窓口および専用ダイヤルを実施し、財務管理面や経営改善計画への適切なアドバイス等、多様化する相談内容に的確に対応しました。
      創業者に対する支援体制の強化として、創業保証後のモニタリングを平成24年度から平成26年度までの3年間において、延べ63企業実施し、モニタリングのフォローアップを延べ155企業実施しました。加えて、創業に関する情報発信の取り組みとして、平成26年度に大学・専門学校等において創業セミナーを12回実施しました。
      また、当協会主催の起業・創業イベントを札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)で開催しました(来場者延べ1,882名)。
      中小企業者の経営改善、事業再生の支援を通じて地域経済の活性化に貢献することを目的に、金融機関および中小企業関係機関等からなる「北海道中小企業支援ネットワーク」を平成24年度に当協会が事務局として構築し、全体会議を各年度2回開催し、同時に中小企業者支援に向けた意見交換のための「経営サポート会議」を設置し、平成24年度2回、平成25年度81回、平成26年度119回開催しました。
      平成25年度から保証付融資を利用している中小企業者に対して、税理士・公認会計士・中小企業診断士等の専門家による診断・助言を行うことにより、中小企業者の維持・発展を図ることを目的として「専門家派遣事業」を創設し、平成25年度20企業62回、平成26年度22企業61回の派遣を行いました。
      企業の再生支援を目的とした国の政策保証にも積極的に取り組み、平成24年度から平成26年度までの3年間において、第二会社方式による実質的債権放棄や求償権消滅保証の取扱を実施したほか、北海道中小企業再生支援協議会が関与した会議に参加し、事業再生計画に基づくリスケジュール支援を行いました。また、再生支援を行った企業に対してはモニタリングを実施し、フォローアップ支援等を行いました。
      平成25年9月から経営改善支援を目的として、国の認定支援機関事業を利用して経営改善計画を策定する中小企業者に対して改善計画策定費用の一部を当協会が補助を行う「経営改善計画策定支援事業」を創設し、延べ44件の申請実績となりました。
  • (5)大口保証先の管理、延滞・事故先企業の早期実態把握
    • 「保証先管理マニュアル」に基づき該当先に関しては、毎期決算書を申し受けして経営内容の実態把握に努め、また金融機関と連携し、モニタリングの実施により経営支援等を行いました。
      延滞・事故先企業の早期実態把握については、「延滞管理マニュアル」「事故報告事務処理マニュアル」に基づき延滞・事故先を管理するとともに、定期的に金融機関へ延滞状況を確認し、実態把握および返済見通しを見極めました。また、事業継続が可能な企業は返済緩和等の条件変更を行い、返済の見込がないと判断された企業については、金融機関との協議により早期に代位弁済を行いました。
  • (6)回収の合理化・効率化
    • 代位弁済後、速やかに効果的な回収方針を策定し、適時的確な対応に努めました。
      折衝経過の再確認、現況・資産の再調査等により、既存の無担保求償権掘り起しによる回収の最大化に努めました。
      任意回収が困難な先については、迅速かつ効果的な法的措置を積極的に講じて回収に努めました。
      回収が困難・不能な求償権は積極的に管理事務停止を行い、権利行使が困難な求償権の整理を推進した結果、求償権は件数・金額ともに減少しました。
  • (7)運営規律の強化等
    • 公的な保証機関としてのコンプライアンス態勢を定着、強化するため各会議等にて、平成24年度延べ82名、平成25年度延べ62名、平成26年度延べ106名の参加者に対し研修を実施し、その他外部講師による役職員への研修やパワハラDVD講習の実施等により、役職員の一層の意識醸成に努めました。
      平成20年5月に移行した電算共同システムについては、システムセンターとの連携を図りながら機能拡充にかかる運用面の変更を数次に亘り行うとともに、独自帳票の追加によって統計システム全体の充実を図り、効果的な活用を促進しました。
      平成24年度には旭川支店にデータバックアップ機器を導入し、システムリスクに備える措置を講じております。
      信用補完制度の変革に対応する人材の育成・開発のため、全国信用保証協会連合会への階層別研修・専門実務研修に3年間で延べ79名を参加させ職員個々の能力向上を図った。また、職員個々のキャリア・スキルに応じた内部研修や自己啓発支援の充実を図り、職員の資質向上に努めました。

外部評価委員会の評価等

森永文彦 中小企業診断士、伊藤隆道 弁護士、籏本道男 公認会計士により構成される「外部評価委員会」の意見・アドバイスは、以下のとおり。

各種政策保証や経営支援・再生支援への積極的な取り組みや、北海道中小企業支援ネットワークの事務局を担うほか、創業イベントの開催による情報発信などにより、協会の存在感を広くアピールしながら「顔の見える協会」として、中小企業・小規模事業者の金融円滑化という使命を着実に果たしている。

今後も引続き、個々の中小企業・小規模事業者の立場に立ち、その多様なニーズに的確に応え、良きパートナーとして地域経済に貢献することを期待する。

コンプライアンス態勢においては、過去の経験を生かしながら倫理観の涵養、事務処理におけるスキルの向上に努め、役職員のコンプライアンス意識の向上および企業ガバナンスの強化に向けた一層の取り組みを期待する。