中期事業計画の評価公表

第4次中期事業計画(平成27年度~平成29年度)の評価 [平成30年8月1日公表]

中期事業計画の評価

北海道信用保証協会は、公的な「保証機関」として、中小企業の資金調達の円滑化を図り、中小企業の健全な育成と地域経済 の発展に貢献して参りました。

平成27年度から平成29年度までの3年間の中期事業計画に対する実施評価は以下のとおりです。

なお、実施評価にあたりまして、中小企業診断士 森永文彦様、公認会計士 旗本道男様、弁護士 伊藤隆道様により構成される「外部評価委員会」の意見を踏まえ、作成いたしましたので、ここに公表します。

1.地域の動向及び信用保証協会の実績

  • (1)地域経済および中小企業の動向
    • 平成27年度から平成29年度かけての北海道経済は、好調な観光や設備投資の増加、さらに雇用・所得環境の回復を背 景に、緩やかに回復しているものの、中小企業・小規模事業者の景況感は規模、業種、地域等によって異なっており、人口減少や少子高齢化に起因する地域経済の縮小、人手・人材不足の顕在化、事業承継の困難化など先行きの需要増加を見込めない中での経営環境には、依然として不透明感が拭いきれない状況にあります。
  • (2)中小企業向け融資および保証の動向
    • 平成27年度から平成29年度にかけての道内中小企業向け融資は、平成28年度から増加傾向にて推移しており、総じ て落ち着きを見せています。
      保証動向については、各種政策保証や創業支援などを積極的に取り組んできたものの、緊急保証の収束による経営安定関連保証の取り扱いが大幅に減少したこと、中小企業者・小規模事業者の借入に対する慎重姿勢や低金利における信用保証料の割高感などから減少基調となりました。
      一方、代位弁済については、返済緩和の弾力的な対応や経営支援などによって年々減少していますが、依然として返済緩和に伴う条件変更や延滞調整を要する先の水準が高いことから、今後代位弁済に至るケースの増加が懸念されます。
  • (3)道内中小企業の資金繰り状況
    • 道内の中小企業・小規模事業者の資金繰り状況は、総じて落ち着いた状況にあります。
      景気が緩やかに回復する中において、運転資金は2年連続、設備資金は6年連続して前年比増加しました。
  • (4)道内中小企業の設備投資動向
    • 道内の中小企業・小規模事業者の設備投資動向は、平成28年度は大型設備の反動によって前年比減少となりましたが、平成29年度は製造業を中心に前年を上回る計画となっています。
  • (5)道内の雇用情勢
    • 道内の雇用情勢は、平成27年度から平成29年度にかけて有効求人倍率は年々上昇しており、直近の2年間においては1倍を上回っており、幅広い業種で人手不足が続いていることが要因と考えられ、着実に改善の動きが見られました。

2.中期業務運営方針についての評価

  • (1)政策保証の推進
    • セーフティネット保証については、経営の安定に支障が生じている中小企業者への事業資金の円滑化を図るため積極的に取り組んでいますが、指定業種の大幅な減少もあり取扱実績は、平成27年度1,098件219億5百万円、平成28年度699件127億68百万円、平成29年度441件93億46百万円となりました。
      経営力強化保証については、金融機関および認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定ならびに計計画の実行および進捗の報告を行う中小企業・小規模事業者に対する支援として取り組み、平成27年度130件24億10百万円、平成28年度112件22億42百万円、平成29年度96件19億54百万円の保証を行いました。
      借換保証・条件変更改善型借換保証については、保証付借入金の債務を集約することにより、資金繰りの円滑化を図るため積極的かつ弾力的に取り組み、平成27年度7,381件1,046億51百万円、平成28年度7,153件1,005億52百万円、平成29年度6,728件908億34百万円の保証を行いました。
      流動資産担保融資保証については、中小企業者の資金調達の円滑化・多様化を図るため、金融機関との意見交換会、勉強等で制度の利用促進を行い、平成27年度95件40億4百万円、平成28年度91件38億57百万円、平成29年度84件35億58百万円の保証を行いました。
      小口零細企業保証については、責任共有制度の導入による小規模企業者への影響を緩和し、安定的な資金調達の維持を図るため積極的に取り組み、平成27年度4,837件182億51百万円、平成28年度4,932件189億99百万円、平成29年度4,729件178億56百万円の保証を行いました。
      創業関連保証・創業等関連保証については、新たに事業を開始する場合、もしくは事業開始後間もない場合等において、事業の実施に必要な資金の円滑化を図るため積極的に取り組み、平成27年度981件39億2百万円、平成28年度1,216件47億28百万円、平成29年度1,283件49億59百万円の保証を行いました。また、地方公共団体の保証制度についても推進に努めました。
  • (2)利便性の向上
    • CRDおよび審査支援システムの活用により審査の簡素化・効率化・迅速化に努め、中小企業・小規模事業者へのサービス向上を図りました。
      金融機関との情報の共有を積極的に推進するとともに、事前相談・照会に適切に対応しました。
      また、北海道の制度融資および特別推せん保証、特定社債保証等について、基準料率から10%~20%の保証料率の割引措置を講じたことに加え、平成28年度より実施している北海道の「中小企業総合振興資金」のうち「小規模企業貸付」に対する保証料の割引については、1年間延長し、割引対象範囲拡大を継続しました。
      本店業務部に設けている夜間経営相談窓口および専用ダイヤルにより経営支援の充実を図りました。
  • (3)保証業務の充実
    • 金融機関との適切なリスク分担および相互理解のために、金融機関本部との意見交換、金融機関との勉強会、金融機関担当者の一日研修等を実施しました。
      関係機関との連携強化として、創業支援・経営支援の体制強化を目的に、平成29年8月に独立行政法人中小企業基盤整備備機構北海道支部、および平成29年9月に日本政策金融公庫道内9支店との間で「業務連携・協力に関する覚書」を締結しました。また、従業員等の健康保持・増進に取り組む中小企業・小規模事業者を応援し、企業の健全な経営に資することを目的に、平成29年9月に全国健康保険協会北海道支部との間で「業務連携に関する協定書」を締結しました。
      事業計画達成のため、「特別推せん保証」、「新規保証キャンペーン」について、現業毎の計画件数を定め推進に努めました。また、平成28年10月から、当協会独自で創設し、金融機関との適切なリスク分担を目的とした金融機関プロパーとの協調融資型保証制度「スクラム3000」を推進しました。
      中小企業・小規模事業者の経営安定のため長期保証を推進するとともに、保証付借入金の口数集約を図るため「借換保証」を積極的に推進しました。
      本・支店における相談窓口を充実し、創業前を含めた創業者の相談・支援体制を強化するとともに、保証支援を行った創業者に対しては金融機関と連携し、モニタリングを平成27年度から平成29年度までの3年間において、延べ185企業に実施し、フォローアップ支援を行いました。
      創業支援機関として認知度の向上を図るため、創業者、大学・専門学校等向けに創業前・創業セミナーを開催したほか、創業情報誌「BSTJ」の発行やSNSを活用した動画コンテンツ「オーエンチャンネル」の配信を行い、創業を促進する環境整備に努めました。
  • (4)経営支援・再生支援体制の充実、強化
    • 経営支援の積極的な取り組みのため、本店・支店における経営支援等の相談に適切なアドバイスを行うべく相談窓口を充実させたほか、中小企業診断士を関係機関の経営金融相談室に派遣し、財務管理面や経営改善計画等への適切なアドバイス、多様化する相談内容に的確に対応しました。
      「北海道中小企業支援ネットワーク」の事務局として、平成27年度は全体会議を上期・下期各1回、平成28年度は上期1回・下期4回(札幌、函館、旭川、釧路)、平成29年度は上期1回・下期3回(札幌、旭川、帯広)開催し、参加機関の連携促進に努め、地域全体の経営改善・再生スキルの向上を図りました。
      経営改善・事業再生の促進を図るため、関係者が迅速な意見交換会を行う「経営サポート会議」を平成27年度98企業107回、平成28年度92企業101回、平成29年度113企業121回開催しました。
      経営の安定に支障が生じている中小企業・小規模事業者に対して、金融取引の正常化を目的として、「経営改善支援事業」による事業者訪問を平成27年度121企業、平成28年度252企業、平成29年度354企業に実施し、専門家派遣・経営診断を平成27年度46企業、平成28年度83企業、平成29年度118企業、経営改善計画策定支援を平成27年度18企業、平成28年度27企業、平成29年度29企業に実施し、経営改善に努めました。
      中小企業・小規模事業者の再生支援を目的とした国の政策保証にも積極的に取り組み、平成27年度から平成29年度までの3年間において、第二会社方式による実質債権放棄、求償権不等価譲渡、求償権消滅保証、求償権放棄、DDS、地域経済活性化機構の特定支援業務による廃業支援を実施したほか、北海道中小企業再生支援協議会が関与した会議、事業再生フォローアップ会議に参加しました。また、再生支援を行った企業に対しモニタリングを実施し、フォローアップ支援等を行いました。
  • (5)大口保証先の管理、延滞・事故先企業の早期実態把握
    • 保証残高1億円超の中小企業・小規模事業者について、毎期決算書を申し受け、経営内容の実態把握に努め、決算内容に大きな変動等がある場合は、業務部に報告を行うこととし管理しました。
      延滞・事故先については、定期的に金融機関へ延滞状況を確認し、延滞の原因等の実態把握および返済見通しを見極めました。また、事業継続が可能な企業は返済緩和の条件変更等を行い、延滞解消および正常化に努めました。
  • (6)回収の合理化・効率化
    • 期中支援部署との連携により代位弁済予定情報を把握し、代位弁済後には速やかに債務者等の現況を把握し、適切かつ効果的な回収方針を決定のうえ早期着手に努めました。
      求償権の見直し、きめ細かな現況調査、粘り強い交渉の徹底と実情に応じた効率的な回収を図り、無担保求償権からの回収の最大化に努めました。
      任意回収が困難な求償権については、適宜迅速かつ効果的な法的措置を講じ回収の促進を図りました。
      再生支援部署との連携により求償権放棄等の再生支援に取り組みました。回収が困難と判断される求償権を早期に見極め、管理事務停止および求償権整理を行いました。
  • (7)運営規律の強化等
    • 個人情報保護法等の関係法令に適切に対応し、コンプライアンス態勢の充実・強化のため各会議にて、参加者に対して研修を実施しました。
      業務運営の健全性と効率化を図るため、組織体制の強化および業務改善に取り組むとともに、予算の適切な執行と経費管理一覧表を活用した経費の執行管理について周知徹底を図り、節減に努めました。
      新制度の創設や機能拡充にかかる共同システムの変更については、保証協会システムセンターと日常的な連携を図るとともに、帳票の変更によって統計システム全体の充実を図り、効果的な活用を促進した。また、リスク管理態勢の充実・強化のため、事業継続計画(BCP)に基づき、役職員への周知徹底および教育・訓練を実施しました。
      ホームページの掲載情報を随時更新し、協会業務情報等を迅速かつ効果的に発信するとともに、信用保証制度の正しい理解と一層の認識を図るため、保証のしるべおよびパンフレット等の作成により、広報活動の充実、広報手段の多様化に努めました。
      信用補完制度ならびに各種業務に精通した人材を育成・開発するため、全国信用保証協会連合会主催の階層別研修・専門実務研修、外部研修に3年間で延べ89名を参加させ職員個々の能力向上を図りました。また、職員個々のキャリアスキルに応じた内部研修や自己啓発支援の充実を図り、職員の資質向上に努めました。
      平成28年度に、中小企業診断士養成のため、職員1名を養成過程研修に派遣して資格を取得、その他職員1名が中小企業診断士試験に合格し、実務補修により資格を取得しました。

外部評価委員会の評価等

森永文彦 中小企業診断士、伊藤隆道 弁護士、籏本道男 公認会計士により構成される「外部評価委員会」の意見・アド バイスは、以下のとおり。

各種政策保証や創業支援への積極的な取り組みや、金融機関および関係機関との連携による「北海道中小企業支援ネットワーク」の事務局を担うほか「経営サポート会議」などによる経営支援・再生支援の促進によって、中小企業・小規模事業者の資金調達、経営改善に貢献したものと考えられる。

今後も引き続き、多様化する中小企業・小規模事業者のニーズに迅速かつ的確に応え、中小企業・小規模事業者の良きパートナーとして公共的使命を果たすことを期待する。

回収については、個々の実情を把握し、回収の効率化を図ることで、回収の促進ならびに回収困難先の整理に努めることを期待する。

コンプライアンス態勢においては、事務処理におけるスキルの向上に努め、役職員のコンプライアンス意識の向上および企業ガバナンスの強化に向けた一層の取り組みを期待する。