年度経営計画の評価公表

平成29年度経営計画の評価 [平成30年8月1日公表]

経営計画の評価

北海道信用保証協会は、公的な「保証機関」として、中小企業の資金調達の円滑化を図り、中小企業の健全な育成と地域経済  の発展に貢献して参りました。

 

平成29年度の年度経営計画に対する実施評価は以下のとおりです。

 

なお、実施評価にあたりまして、中小企業診断士 森永文彦様、公認会計士 籏本道男様、弁護士 伊藤隆道様により構成される「外部評価委員会」の意見を踏まえ、作成いたしましたので、ここに公表します。

1.業務環境

  • (1)地域経済および中小企業動向
    • ①北海道の景気動向
      北海道地域の景気は、緩やかに回復しています。需要項目をみると、公共投資は、既発注分を含めて減少しています。輸出は、緩やかに持ち直しています。
      設備投資は、製造業を中心に前年を上回る計画から増加しています。個人消費は、このところ一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては回復しています。
      観光は、国内外の需要を背景に好調に推移しています。住宅投資は、金融環境変化に伴う投資マインドの後退などにより緩やかに減少しています。
      生産は、主要業種別で持ち直しの動きがある一方で、弱めの動きもあることから横ばい圏内の動きとなっています。
      雇用・所得情勢をみると、労働需給は引き締まっており、雇用者所得は回復しています。
    • ②中小企業を取り巻く環境
      景気全体としては緩やかに回復しているものの、中小企業・小規模事業者の景況感は規模・業種・地域人口等によって異なっており、人口減少や少子高齢化に起因する地域経済の縮小、人手・人材不足の顕在化、事業承継の困難化など先行きの需要増加を見込めない中での経営環境には、依然として不透明感が拭いきれません。
  • (2)道内企業の資金繰り状況
    • ①事業者向け貸出は、運転資金については年度を通じ、総じて前年を上回る状況で推移、設備資金については年度を通じ、前年を上回る状況で推移しています。
    • ②道内企業の資金調達環境をみると、日銀短観による金融機関の貸出態度判断(「緩い」-「厳しい」)は、製造業、全産業においては横ばい、非製造業においては対前年度でマイナス値となっていますが、前々年度から改善状況は維持されており、資金調達環境としては明るい結果となっています。
    • ③金利面をみると、借入金利水準判断(「上昇」-「低下」)は、製造業においては平成29年12月からプラス値にて推移していますが、非製造業、全産業においては年度を通じてマイナス値にて推移しており、総じて資金調達コストが低減している結果となっています。
  • (3)道内企業の設備投資動向
    • ①道内企業の設備投資額は、景気が緩やかに回復する中、収益が改善するもとで増加しています。
    • ②平成29年度の設備投資状況は、製造業を中心に前年を大幅に上回る計画となっており、増加しています。
  • (4)道内の雇用情勢
    • ①平成29年度の道内の雇用情勢は、改善が進んでいます。
    • ②完全失業率は前年を下回る水準となっています。有効求人倍率は幅広い業種で人手不足が続いており、2年連続で1倍を上回り改善しています。

2.事業概況

当協会の平成29年度の事業概況について、保証承諾、保証債務残高ともに、各種政策保証が中小企業・小規模事業者の資金繰りに寄与しているものの、中小企業・小規模事業者の借入に対する慎重な姿勢や低金利における信用保証料の割高感など保証付融資に対する環境が厳しいことなどから計画は達成したものの、前年度を下回る実績となりました。

代位弁済は、条件変更への弾力的な対応、延滞調整の強化、経営支援の対応などから年度累計83億円の実績で前年度を下回っているものの、依然として返済緩和を伴う条件変更を実施している先や経営支援を必要としている先は多い状況となっています。

求償権の回収は、代位弁済後の早期に現況を把握し、実態に見合った回収方針や行動計画を策定のうえ回収に努めたことにより計画は達成したものの、無担保求償権の増加などにより前年度を若干下回る結果となっています。

単位:億円、%

項目 件数 前年比 実績金額 前年比 計画金額 計画達成率
保証承諾 28,870 97.1 3,337 94.7 3,240 103.0
保証債務残高 87,835 97.0 7,200 95.1 7,050 102.1
代位弁済 1,171 87.5 83 87.6 96 86.8
求償権回収 - 30 92.4 27 110.2

3.決算概要

平成29年度の決算概要(収支計算書)は、以下のとおりです。(単位:百万円)

経常収入 9,266
経常支出 6,814
経常収支差額 2,452
経常外収入 13,096
経常外支出 13,587
経常外収支差額 ▲491
制度改革促進基金取崩額
当期収支額 1,961
  • ・経常収入は、保証料収入減少が主要因で前年比5億90百万円減少しました。
  • ・経常支出は、信用保険料、責任共有負担金納付額の減少により前年比2億77百万円減少しました。
  • ・経常外収支差額は、求償権補てん金戻入の減少によって、マイナス幅は増加しました。
  • ・当期収支差額は、19億61百万円となりました。この収支差額の剰余金処理については、基金準備金に10億円、収支差額変動準備金に9億61百万円をそれぞれ繰入しました。

4.重点課題への取組み状況

昨年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は以下のとおりです。。

  • (1)政策保証の推進
    • ①セーフティネット保証については、441件、93億46百万円の保証を行いました。
    • ②経営力強化保証については、96件、19億54百万円の保証を行いました。
    • ③借換保証については、6,728件、908億34百万円の保証を行いました。
    • ④流動資産担保融資保証については、84件、35億58百万円の保証を行いました。
    • ⑤小口零細企業保証については、4,729件、178億56百万円の保証を行いました。
    • ⑥創業関連保証・創業等関連保証については、1,283件、49億59百万円の保証を行いました。
    • ⑦経営者保証ガイドライン対応保証については、11件、3億6百万円の保証を行いました。
    • ⑧事業再生計画実施関連保証については、47件、8億72百万円の保証を行いました。
    • ⑨地方公共団体の保証制度についても推進に努め、北海道の「中小企業総合振興資金」については、5,695件、500億15百万円、札幌市の「一般中小企業振興資金」については、4,525件、483億99百万円、市町村特別融資については、5,052件、368億88百万円の保証を行いました。
  • (2)利便性の向上
    • ①CRDおよび審査支援システムの活用により審査の簡素化・効率化・迅速化に努め、中小企業・小規模事業者への サービス向上を図りました。
    • ②金融機関との関係については、意見交換を含め情報の共有を積極的に推進するとともに、事前相談・照会に対して は迅速な対応に努めました。
    • ③「北海道小規模企業振興条例」の施行とあわせて、平成28年度より実施している北海道の「中小企業総合振興資 金」のうち「小規模企業貸付」に対する信用保証料率の割引について、1年間延長し、割引対象範囲拡大を継続しました。
    • ④本店業務部に設けている夜間経営相談窓口および専用ダイヤルにより経営支援の充実を図りました。
  • (3)関係機関との連携強化
    • ①北海道・市町村とは協議会の実施、意見交換等への出席により円滑な連携を進め、また商工会議所・商工会・中小企業団体等との保証業務に関する説明会を通じ、中小企業者のニーズ把握に努めました。
    • ②業支援・経営支援の体制強化を図ることを目的に、独立行政法人中小企業基盤整備機構北海道支部、および日本政策金融公庫道内9支店との間で「業務連携・協力に関する覚書」を締結しました。
    • ③従業員等の健康保持・増進に取り組む中小企業・小規模事業者を応援し、企業の健全な経営に資することを目的に、全国健康保険協会北海道支部との間で「業務連携に関する覚書」を締結し、「健康事業所宣言」の認定を受けた中小企業・小規模事業者に対する「健康宣言企業応援保証制度(すこやか北海道)」を創設しました。
  • (4)保証業務の充実
    • ①金融機関との意見交換会、勉強会、一日研修等を実施し、保証制度等の更なる理解と周知に努めました。
    • ②当協会独自で創設した、金融機関と適切なリスク分担を目的とした金融機関プロパーとの協調融資型保証制度「スクラム3000」を推進し、平成28年10月の取扱開始からの保証承諾累計実績は3,188件344億84百万円となりました。
    • ③保証利用企業者の多様なニーズを把握するため、企業訪問を実施しました。
    • ④本・支店における相談窓口を充実させ、創業前を含めた創業者の相談・支援体制を強化するとともに、保証支援を行った企業に対して金融機関と連携して適宜モニタリングを実施し、フォローアップ支援を行いました。
    • ⑤創業支援機関としての認知度の向上を図るため、セミナーを実施するとともに、情報誌やSNSを活用した創業支援に関する情報発信を行い、創業を促進する環境整備に努めました。
    • ⑥海外展開を目指す中小企業・小規模事業者に対する支援に向け、本店の「海外展開サポートデスク」の機能を強化すべく、各種会議・セミナーに参加し、デスク設置の広報を行いました。
  • (5)審査能力の向上
    • ①創業保証・財務分析・期中管理等の担当者研修に加え、人材交流を目的とした金融機関との合同研修、専門家による事業性評価をテーマとした研修を同時に実施しました。
    • ②保証審査業務の経験の浅い担当者に審査トレーニーを実施しました。また、現業指導時には事例のフィードバックを行いました。
  • (6)経営支援・事業再生の促進
    • ①中小企業診断士職員を3関係機関(札幌商工会議所、さっぽろ産業振興財団、北海道中小企業総合支援センター)の経営金融相談室へ派遣したほか、本・支店における相談窓口を充実させ、経営支援等の相談に適切なアドバイスを行いました。
    • ②「北海道中小企業支援ネットワーク」の事務局として、全体会議を上期1回、下期は3回(札幌市、旭川市、帯広市の計3ヵ所)開催し、参加機関の連携促進に努め、地域全体の経営改善・再生スキルの向上を図りました。
    • ③中小企業・小規模事業者の経営改善・事業再生の促進を図るため、関係者が迅速に意見交換を行う「経営サポート会議」を開催しました。
    • ④経営の安定に支障が生じている中小企業・小規模事業者に対して、「経営改善支援事業」による事業者訪問を実施し、専門家派遣・経営診断、経営改善計画策定支援を行い、経営改善に努めました。
    • ⑤本店の「事業承継サポートデスク」の機能を強化するため、事業承継サポートネットワークの会議・セミナー等に参画して、金融機関および関係機関との連携を強化し、相談体制の充実を図りました。
    • ⑥事業再生の可能性がある中小企業・小規模事業者については、中小企業再生支援協議会等と連携し、積極的に再生支援に取り組み、第二会社方式による求償権放棄、求償権消滅保証、求償権不等価譲渡、地域経済活性化機構の特定支援業務による廃業支援を行いました。
    • ⑦再生支援協議会が主催する再生会議、事業再生フォローアップ会議に参加しました。また、再生支援を行った企業に対する事業再生モニタリングを実施し、フォローアップ支援を行いました。
  • (7)大口保証先、延滞・事故先の管理
    • ①保証残高1億円超の中小企業・小規模事業者については、毎期決算書を申し受け、経営内容の実態把握に努め、決算内容に大きな変動等がある場合は、業務部へ報告を行うこととし管理しました。
    • ②延滞・事故先については、定期的に金融機関へ延滞状況を確認し、延滞の原因等の実態把握および返済見通しを見極めました。また、事業継続が可能な企業は返済緩和の条件変更等を行い、延滞解消および正常化に努めました。
  • (8)新規求償権に対する早期着手
    • 期中支援部署との連携により代位弁済予定情報を把握し、代位弁済後には速やかに債務者の現況を把握し、適切か つ効果的な回収方針を決定のうえ早期着手に努めました。
  • (9)既存無担保求償権の掘り起こし
    • 求償権の見直し、きめ細やかな現況調査、粘り強い交渉の徹底と実情に応じた効率的な回収を図り、無担保求償権からの回収の最大化に努めました。
  • (10)法的措置による回収促進
    • 任意回収が困難な求償権については、適宜迅速かつ効果的な法的措置を講じ回収の促進を図りました。
  • (11)求償権の整理促進
    • 回収が困難と判断される求償権を早期に見極め、管理事務停止および求償権整理を行いました。
  • (12)管理回収能力の向上
    • ①現業指導・担当者研修の実施によって、業務知識・能力の向上を図りました。
    • ②担当者研修において過去の事例研修を行うとともに、顧問弁護士を講師として法的知識の講演を行いました。
  • (13)運営規律の強化
    • ①個人情報保護法等の関係法令に適切に対応し、コンプライアンス態勢の充実・強化のため各会議にて、参加者に対して研修を実施しました。
    • ②定期監査、日常監査、月例監査、随時監査を実施し、法令やルールの遵守・リスク管理等の検証、指導を行いました。
  • (14)効率的な業務運営
    • ①業務運営の健全性と効率化を図るため、組織体制の強化および業務改善に取り組むとともに、予算の適切な執行と経費管理一覧表を活用した経費の執行管理について周知徹底を図り、節減に努めました。
    • ②経営企画課の新設により多様化、高度化する保証協会の業務内容や業務環境に対応し、中長期的な課題解決に向けて取り組みました。
  • (15)リスク管理態勢の充実・強化
    • 平成29年度の事業継続計画(BCP)に基づき、役職員への周知徹底および教育・訓練を実施し、体制の整備・機能の充実を図りました。
  • (16)電算共同システムの安定運用
    • 新制度の創設や機能拡充にかかる共同システムの変更に伴うものについては、保証協会システムセンターと日常的な連携を図りながら、各部と連携して運用しました。
  • (17)広報活動の充実
    • ホームページの掲載情報を随時更新し、協会業務情報等を迅速かつ効果的に発信するとともに、信用保証制度の正しい理解と一層の認識を図るため、保証のしるべおよびパンフレット等の作成により、広報活動の充実、広報手段の多様化に努めました。
  • (18)人材開発の充実・強化
    • ①全国信用保証協会連合会主催のマネジメント力の強化を目的とした階層別研修、信用補完制度ならびに各種業務に精通した人材育成目的とした専門実務研修および課題別研修、能力開発評価制度の適正な運用を目的とした人事考課者研修に職員を参加させました。
    • ②内部研修として、新入職員研修を実施するとともに、研修リーダー制度によるOJT・研修リーダー会議の実施によって研修リーダー制度の充実を図りました。また、若年層の育成強化を図るべく、2年目職員を対象としたフォローアップの内部研修を実施し、職員の資質向上に努めました。
    • ③外部研修として、自発的な参加を目的とした研修会社主催の課題別の公開講座に参加して、各課題に対応する能力向上に努めました。